頼もしい日本人作り
社団法人 日本青年会議所 W・Book(2000年度)


 今、わが国が抱える最大の問題は少子高齢化である。年金、介護、雇用…。いずれも原点は人口構造の歪みに帰結する。
 そこで少子高齢化と称し、数兆円規模の予算が投入されてきたが、多くは保育、子育て支援であって、直接の少子化対策ではない。私は政策決定の場で違和感を訴えてきたが、男性諸氏にはおわかりにならないようだ。
 問題は、今時の女性が結婚に価値を見いださず、結婚したいと思わなくなったことにある。「この人の子供を生みたい」という気にならないことにある。では、なぜ結婚や出産に価値を見いださないのか。経済力アップ、一人者の気楽さ、面倒臭い、人それぞれだろう。単なる女性のわがままという人もいる。しかし、女性が結婚へのあこがれをまったく失ったわけではない。結婚しなくても、子供だけはほしいという女性も驚くほど多い。
 社会心理学的には、女性はどんなに社会的、経済的に強くなったとしても、どこかで、誰かに守ってもらいたいという「シンデレラ・コンプレックス」を持つものである。ところが、最近の男性は女性化する一方で、むしろ自分が守ってもらいたいような母性愛を求める傾向が強いようだ。このすれ違いこそが女性に結婚や出産を思いとどまらせる原因となっているのではないか。つまり、頼もしい男性が決定的に減っていることこそが、少子化の最大の原因というのが小池説である。
 つまるところ、教育である。女子教育もさることながら、男子教育こそ重要だ。別に喧嘩が強ければ頼もしいとはいわないが、例えばイギリスの宰相ディズレーリの母は、子供に喧嘩に強くなるように教育し、その中からリーダーシップを体感するようにさせた。
 誰も肉体的マッチョになれとは言わない。精神面の強さ、芯の強さ、責任感、それらを総合した頼もしさを学んでほしい。高校生への海外ボランティア制度の導入などを通じて、教育面から、頼もしい日本人作りをしてみたい。

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